概要 本格的な少子・高齢社会の時代を迎え、すべての人が自立した個人として参画できる社会の実現が求められています。このため、社会を構成する建築物を含めた社会資本を整備する上で、だれもが利用出来るように施設を整備することが重要な課題となり、官庁施設整備においても、ハートビビル法等に基づいた従来からの高齢者・障害者施策にとどまらず、今後は、ユニバーサルデザインの視点に立つ、きめ細やかな対応が必要とされています。 このような社会的課題に対応するため、国土交通省官庁営繕部においては、平成14、15年度に「官庁施設のユニバーサルデザイン検討委員会」を設置して、ユニバーサルデザインの考え方を導入した具体的対応策に関する検討を行い、その検討結果を踏まえて平成18年3月31日、「官庁施設のユニバーサルデザインに関する基準」を制定しました。 本書はその制定された基準を分かりやすく解説するとともに、委員会における検討資料等をもとに、ユニバーサルデザインの考え方、実現に向けた留意事項、基本となる設計上のポイント等を、施設整備に関わる実務者に利用しやすいように編集したものです。 ユニバーサルデザインとは、ノースカロライナ州立大学(米)の故ロナルド・メイス教授が1980年代に提唱したもので、「すべての人にとって、できる限り利用可能であるように、製品、建物、環境をデザインすることであり、デザイン変更や特別仕様のデザインが必要なものであってはならない。」と定義されています。施設の特性により個々の対応は異なるかも知れませんが、ユニバーサルデザインの考え方は全ての施設に共通するユニバーサルなものと言えます。 本書が、官公庁施設の整備に携わる方はもとより、'般の施設においても広く活用され、施設整備におけるユニバーサルデザインの考え方が広く普及することを期待致します。
目次 第1編 官庁施設のユニバーサルデザインに関する基準 第2編 第2編官庁施設のユニバーサルデザインに関する基準(解説) 第1章総則 1.1目的 1.2用語の定義 第2章基本事項 2.1基本方針 2.2評価及ぴ検証 第3章 官庁施設のユニバーサルデザインに関する性能の水準及び技術的事項 3.1性能の水準 3.2技術的事項 3.2.1移動空間 3.2.2行為空間 3.2.3情報 3.2.4環境 3.2.5安全 3.3 施設の特性の考慮についての考え方 資料 ユニバーサルデザイン7原則 資料1 官庁施設整備に当たっての主たる視点 資料2 ユニバーサルデザインレビューの進め方 資料3 ユニバーサルデザインレビューの実施例 資料4 ユニバーサルデザインレビューの整備ガイド 参考文献